トップダウンとボトムアップ。
この2つは心理学用語であり、能動的処理と情報処理という対極的なものです。
会社組織では、このトップダウンとボトムアップの2つが大きく関係しており、どちらの経営手法をとっても、営業方法や経営方針に良し悪しが生じるといいます。
トップダウンとボトムアップの心理学からみた経営手法と問題点についてご説明します。
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トップダウン処理とボトムアップ処理、心理学でどんな意味なのか
組織の構造として度々使われるトップダウン・ボトムアップ。その意味を正しく把握しているでしょうか。
もともと認知心理学の情報処理アプローチのことで「トップダウン処理」とは「概念駆動処理」とも言われ、すでにある知識や期待などの認知構造に沿う情報処理のこと。
それに対し、「ボトムアップ処理」または「データ駆動処理」は、視覚や聴覚、末端から中央へという、分析水準の低次から高次への情報処理原理です。データはより上位の概念であるスキーマ群に取り込まれます。
難しい言葉を並べているようですが、これらは私達が社会構造の中で生きる上で何らかの形で接していることでもあります。
仕事におけるトップダウン処理とボトムアップ処理について、続けて見ていきましょう。
心理学用語のトップダウン処理とボトムアップ処理をもっと簡単に説明すると
前項の説明では、専門用語でよくわからないという声が聞こえて来そうですので、より身近な形で話を進めましょう。
会社組織の中で決定すべき事項が生じた時、社員一人一人の意見を集約しまとめたものから決定を下すのがボトムアップです。
逆に、リーダーによって物事が決定され、その下にいる社員はそれに従う図式はトップダウンというわけです。
人が視覚によって状況を認識する場合、見えている視界にどんな大きさでどんな色のものがあるか。また、光の有無や強さといった細かい情報をまとめていき徐々に見えている物を判別するという情報処理が行われます。
この過程がボトムアップです。
逆に、見る前に「そこにはこういうものがあるはずだ」という期待や事前の知識から解釈を加えるものはトップダウン処理になるのです。
心理学のトップダウンとボトムアップは営業にも使える
営業の手法においてもトップダウンとボトムアップの考え方を応用することができます。
会社のトップである社長やそれに準ずる立場にアプローチし、商品やサービスを売り込みます。導入にかんして決定権を持つトップから攻めた場合、成功すればその後の進展は早いでしょう。
ただし、売り込みに失敗すれば瞬時に蹴られてしまうというリスクもあります。
ボトムアップ営業の場合は、どの立場の誰に商談を持ちかけるかが重要になります。興味を持ってくれそうな人や、より上の立場に提案できる人物など確実に上に情報を上げてくれる人選でなければなりません。
接触するハードルは低いものの話を進めるためには様々な工夫が必要になるでしょう。
自分が売り込もうとする商品・サービスを理解した上で、提供しようとする企業についてもリサーチを行ってトップダウン・ボトムアップのどちらが成功率が高いのか、事前にしっかりと戦略を練りましょう。
経営理念はトップダウンで、実行計画はボトムアップが理想的
ボトムアップ方式では現場のリアルな意見を取り入れて会社の方針をまとめていきます。末端の社員のやる気を引き出し、より能動的な仕事をする上でモチベーションが上がることが期待できるでしょう。
デメリットととしては、あまり革新的な動きにはなりにくく現状維持型になりやすいということがあります。
トップダウン方式では、経営者が直接方向性を示して決定していくのでスピーディーで一貫性があります。この時注意したいのは、末端の社員まで考えを行き渡らせて行動に移していくために、ある程度現場の社員も計画作成に関わったほうがスムーズに運ぶでしょう。
それぞれメリット・デメリットがあるので両方を臨機応変に使い分けることが理想的です。
経営の理念や方針、将来ビジョンや具体的な目標はトップダウン方式で決め、実行計画はボトムアップ方式という両輪で進めるのが理想的ではないでしょうか。
トップダウン経営とボトムアップ経営、今の時代は?
トップダウン経営とボトムアップ経営のどちらがいいかということは、一概に決めつけることはできません。
かつて戦後の日本が目覚ましい発展を遂げた高度成長期は、多くの企業がトップダウンで成功していた印象があります。
しかし、その後時代は移り変わり近年ではワンマン経営にはネガティブなイメージを持つ人も少なくありません。
トップダウン経営では、トップのカリスマ性やリーダーシップによるところも大きく、ここが弱いと組織が空中分解する恐れもあります。
ボトムアップ経営の場合は、カリスマ性よりも部下・社員とのコミュニケーション能力が重要になってきます。ただ、ボトムアップ経営の場合でも、トップによるビジョンの提唱によって明確な方向性を指し示すことが必要です。
基本的には今の時代、ボトムアップ経営が求められていると考えられるのではないでしょうか。
トップダウンとボトムアップの利点を組み合わせる重要性
かつては国、会社、学校など組織の仕組みとして強いリーダーこそが必要とされていました。もちろん、現代でも強いリーダーの存在は心強いものでしょう。
しかし、今や個々の個性やアイデアといった多様性も重視されることが多くなりました。早いスピードで変化する時代に対応するためには、立場や世代を超えた意見の集約は必須といってもいいでしょう。
強いカリスマ性よりも、コミュニケーション能力で現場を結びつけ風通しの良い会社にすることが求められる時代です。
前時代的な経営哲学に縛られることなく、現場の生の声・意見を聞きながらビジョンを描く必要があるのです。
トップダウン、ボトムアップそれぞれのデメリットを知り両方のメリットを上手く使い分けていくことが、現代の経営には求められているのです。