ガソリンスタンドが閉店する理由とは?その実態を解説します

自分の住んでいる街の中を車で走っていると、ガソリンスタンドの数が減っていることに気づかされますよね。明らかに新しくオープンしているガソリンスタンドはほとんどないのではないでしょうか?

なぜこんなにも閉店してしまうのでしょうか?その理由は何なのでしょうか?

ガソリンスタンドが閉店する理由について詳しく説明します。

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ガソリンスタンドの閉店数が増加している理由とは?

日常的に車を使い生活している人にとっては、ガソリンスタンドは欠かせない施設です。
近所の使い勝手の良いガソリンスタンドをチェックして、利用している人も多いのではないでしょうか。

日本は、車社会のため、1994年にはガソリンスタンドの数はピークの6万強もありましたが、そこからは連続で減少傾向になり、約20年後の2015年にはその半分の3万箇所までに落ち込みました。

過疎化が進む自治体では、その地区内にガソリンスタンドが3ヶ所にも満たない地域も少なくありません。

新規で店を始めたガソリンスタンドは2015年度で過去最低の約200箇所であるにもかかわらず、ずっと店を続けながら何らかの事情により廃業したガソリンスタンドは約1300箇所にものぼります。

ガソリンスタンドの廃業には、経営者の高齢化が原因のひとつであると考えられます。

現在のガソリンスタンドの経営者は70歳以上が1番多く、次に多いのが60歳以上ということで、経営者自身が高齢であるということから、やむなく休業や廃業を選択するガソリンスタンドが多いということが言えます。

ガソリンスタンドが突然閉店する理由は「利益」に関係がある?

ガソリンスタンドは、おもにガソリンや軽油などの各種エンジン用燃料を販売している施設です。

家庭用の灯油を購入するために利用するということもありますが、ほとんどは車に乗る人が車にガソリンを入れるために立ち寄る場所です。

車に乗る人が多ければ多いほど、ガソリンはその分売れるため、ガソリンスタンドは儲かるのではないかと思う人もいるかもしれません。

しかし、実際は、ガソリンの純利益が1リットルあたり数円ということを考えると、簡単に儲かるとは言い難い商売と言えます。

車にガソリンを入れた時のレシートを見たことがある人は、「税金」の高さに驚いた経験はないでしょうか。

ガソリン税は、正式には「揮発油税及び地方揮発油税」と言い、2008年5月1日から2018年3月31日までの税率はガソリン1リットルあたり53.8円とかなり高い金額になっています。
ガソリン20リットルを入れると、約1000円が税金となります。

このような高い税金をひいた残りの金額から、原油価格や、利益、人件費、その他コストを差し引いた額が純利益になるので、ガソリンだけの利益では商売が厳しいということが言えます。

ガソリンスタンドの閉店理由には若者のクルマ離れもある?

一定の地域に、ガソリンスタンドが3ヶ所に満たない自治体は、2017年度で約300の市町村にものぼります。

これらに該当する自治体は、経産省が「給油所過疎地」と位置づけています。

多くのガソリンスタンドが廃業したきっかけのひとつとして、2011年に消防法が改正されたことも挙げられます。

この消防法においては、ガソリンを備蓄するために各ガソリンスタンドの地下に埋められているタンクが40年以上経過し、老巧化している場合、補修を義務付けました。

そして、これに応じられない場合は「営業許可取り消し」の厳しい処分が下されてしまうのです。

この補修には、国からの補助金も出ますが、それを上回る改修工事費用がかかることから、タンクの補修を諦め、廃業したガソリンスタンドは多いようです。

また、先程も書いた通り、ガソリンにかけられた高い税金や、近年ではハイブリッドカーなどのエコカーが増加したことにより、ガソリンの消費量が減少したこと、そして若者の車離れということもガソリンスタンドの経営を圧迫している理由です。

このような近年のガソリンスタンド事情を国も見直し、ガソリンスタンドの経営安定化に向けて、簡易タンクを設置することを検討したり、エコカーに対応するバッテリー充電等、ガソリンだけではなく色々な機能を併せ持ったガソリンスタンドが増加するように推進しています。

閉店したガソリンスタンドはまたガソリンスタンドとして再起できる?

ガソリンスタンドは、車社会においてはなくてはならない施設ですが、おもに揮発性のエンジン用燃料をおいているため、万が一天災が起こった時ガソリンに引火して爆発したり、火災が燃え広がるということも考えられます。

このようなことが発生しないように、ガソリンスタンドは「消防法」という法律によって厳しく規制されており、建物自体も他の建物よりも厳重に設計されたり、設備も考えられているのです。

この消防法により、ガソリンスタンドの床は、ガソリン等の油が染み込みにくい素材で緩やかな傾斜をつけることによって周囲の排水口に水と共に流す仕組みになっていなければいけません。

水で洗い流された油は、そのまま河川に流れてしまうと環境汚染の原因になりますので、そうならないように、何重にも水と油を分離するような設備も常設しています。

このような大掛かりな改修工事費用が捻出できない等の理由で、ガソリンスタンドを廃業した場合、他の商売だったら他の経営者が店を買い取ってまた新しくガソリンスタンドを始めるということもできますが、ガソリンスタンドは一度廃業すると、同じ設備は二度と使えません。

この理由として、ガソリンスタンドの廃業届を出すと、安全のためガソリンスタンドの地下に埋められているタンクを使えないように砂を入れるからです。

このため、廃業を決めたガソリンスタンドは、そのまま解体するか、もしくは建物を別の業種が買い取って使うという方法しか残されていません。

昔、ガソリンスタンドだった建物を利用してラーメン屋などの店を始めるところも地方には少なくありません。

ガソリンスタンドの収入源とは?

ガソリンスタンドを利用する人の多くが、自家用車に給油をすることを目的としています。

しかし、ガソリンスタンド側からすると、この給油だけでは純利益は微々たるものなので、経営が厳しいということは明らかです。

そのため、最近では、付随するサービスに力を入れているガソリンスタンドが多いようです。

給油以外のサービスとしては、車の点検や、洗車、タイヤ販売、修理などがあります。

以前、観光地に車で行った時、立ち寄ったガソリンスタンドで給油中に、「タイヤの溝が減っているからそろそろ交換いかがですか?」と言われてびっくりしたことがありました。

その時は断りましたが、スタンド経営のことを調べてみると、ガソリンスタンドの収入源の厳しさを知り、1人納得した次第です。

経営状態が厳しいガソリンスタンドにおいては、給油はきっかけであり、さらに利益を生むサービスを提供することにより、商売が成り立っていると言えます。